「10年代の終戦」~9/1 開催中です。

2012年8月23日

青秀祐・梅沢和木・木村泰平・潘逸舟・柳井信乃・檜山高雄
『10年代の終戦』
企画 高橋洋介
2012年8月15日(水)~9月1日(土)

東京を離れ、青森で仕事をするようになって日本や3.11に対する見方が大きく変わった。青森で生活しながら日本の矛盾のいくつかを知っていく中で、原爆で始まった戦後と原発事故以後の現代をひとつながりのものとして提示した開沼博氏の『「フクシマ」論』を読み、この展覧会の構想に関わるふたつの問いが脳裏をよぎった。
ひとつは、戦時中の言語が3.11の直後に再召還されたことに関わる。なぜ人々は、いまに敗戦を透かし見たのか。そこには表面的な類似を超えた繋がりがあったのだろうか。
もうひとつは、戦争画に関わる。日本美術のゼロ年から10年を経た今、日本における歴史の忘却に抗うためには、現代美術の起源としての戦争画の問題を問い直し、自分たちを批評の俎上にのせるほかないのではないか。
この重なり合うふたつ―3.11と日本戦後美術―の問いをどのような形で実践できるのかという問題意識が、この展覧会を構想する契機となった。
以上の前提を踏まえた上で、この展覧会では、太平洋戦争を陸軍兵として生き、シベリア抑留後、ソ連政府から中国戦犯管理所に移管された檜山高雄の絵画と、戦争の記憶が風化しつつあった1980年前後に生まれた若手作家5名の主に3.11以後に制作された作品を対置する。
おおよその構想が固まったのが7月の初旬、そこからたった1ヶ月の間に、この展覧会は、さまざまな方のあたたかい協力を得て、準備されてきた。もちろん、もっと長い準備期間をとり、規模をさらに大きくするべきテーマであることは承知している。しかし、今回は、いますることがこの規模で行うこと以上の意味を持つと判断し、問いを改良し、さらなる研究と実践を深めていくためにも、無理を通して開催することにした。そのすべての責任はキュレーターにある。
観にきてくださった方々がこの展覧会を批評し、議論するきっかけを与えてくださるならば、これに勝る喜びはない。

高橋洋介(本展キュレーター)

檜山高雄「1945年8月15日終戦」


[ eitoeiko ]